漂泊の日々

日々触れたものの感想、時々フランス語の学習など。

オールコックの江戸

 

オールコックの江戸―初代英国公使が見た幕末日本 (中公新書)

オールコックの江戸―初代英国公使が見た幕末日本 (中公新書)

 

 

正直なところ、江戸時代末期に興味があったわけでも外交史を勉強してるわけでもなんでもなかったのだけど、縁があってamazonの書評をみたらものすごく面白そうだったので、早速図書館で借りてみた。
 
なかなか手をつけられなかったが、いったん読み始めたら止まらない。 
 
ラザフォード・オールコックが初代英国総領事として日本ですごした1859年からの3年間が資料から丁寧に読み解かれており、当時の社会状況が手際よく解説され、それだけでも感心するんだけど、さらに人間オールコックの孤独、焦燥、情熱が描かれている。
 
言葉も通じず、自分の常識が通用しない相手に日英修好通商条約の遵守を要求しつつ、日本の自然風土や工芸品について深い関心をみせ、幕府の遣欧使節派遣や万国博覧会への工芸品出品に力を尽くすオールコック
 
良くも悪くも帝国主義的ではあるが、人間的な魅力をもった人物に描かれていて、この本を読んだ人はみんなその魅力に引き込まれてしまうんじゃないだろうか?
 
また、著者はオールコックの日本での足取りを実際に辿っているとのことで、それぞれの土地の歴史や現在の様子が、目前に立ち現れてくるよう。
 
全く興味のないジャンルにもかかわらず素晴らしい出会いをしたので、興味を持たれた方には是非手にとって読んでみてほしい。
 
あと、あとがきで隼町からみえる霞ヶ関あたりの眺望について著者がふれてて、同意見なので少しうれしかったり。