漂泊の日々

日々触れたものの感想、時々フランス語の学習など。

さよなら歌舞伎町|汚れてたって、生きて行く。

もうじき公開も終わるしで、送別会で忙しくなる前に観に行ってきました。


新宿歌舞伎町を舞台とした5組の男女の群像劇です。主人公は倦怠期のカップル。ミュージシャンを目指す彼女とはこのところセックスレス、お台場のグランパシフィックに出勤するはずが、実際に出勤するのはラブホテル「アトラス」で、わけありスタッフ達に振り回される名ばかり店長。その他、数日後に女の子が帰国するため、別れを目前にした韓国人カップル、中年男性を家にかくまう中年女性、家出少女とチャラ目のチンピラ、警察官の不倫カップルの一日の物語が主人公の働くホテルを軸に展開します。

「アトラス」は実在のラブホテルで、ホテル内も柏に実在するラブホテルだそうな。一つのラブホテルでいろんなことが起こりすぎとか、いらないエピソードが多いとかいろんな感想ありますが、基本的には男性も女性も楽しめる、よくできた物語だと思います。

登場する人はみんな、洗っても落ちない汚れが染みついていて、それを象徴するのが、韓国人カップルのお風呂のシーン。

気が付いたら澱が溜まって洗っても洗っても洗い流せない時のあの絶望感、ぞっとする暗さって、ある程度生きてきた女性ならみんな抱えている。

汚れのない自分に戻れなくても、それでも生きていかないといけない。

だからこそ、エンドロールの一番最後のシーンに、ちょっと救われるんじゃないでしょうか。

賛否両論のある前田敦子さん、私はあのぼーっと空っぽな感じと声はなかなか良いと思いました。